蜂蜜の基準に関する国外の参考資料: CODEX(国際食品規格委員会)蜂蜜基準 水分量20%以下、ショ糖5g/100g以下(シトラス、アカシアは10g/100g以下)、全糖60g/100g以上、非水溶性固形物0.1g/100g以下(圧搾ハチミツは0.5g/100g以下)
商業者間自主適用基準:
遊離酸度50meq/Kg以下、ジアスターゼ活性
8 または 3 Schade units以上、ヒドロキシメチルフルフラールH.M.F. 40mg/Kg (熱帯地方の国、地域
80mg/Kg)、 電気伝導度0.8mS/cm以下
3.必須組成物および品質要件
3.1
販売蜂蜜は食品添加物を含め食品成分を追加してはならない。また、蜂蜜以外を加えてはならない。
蜂蜜は、その処理と貯蔵中、外部因子からの味、香りの汚染、異物混入があってはならない。
蜂蜜は発酵または泡立ちし始めていてはならない。
花粉や蜂蜜の特定の成分の除去は、混入した無機または有機物質の除去で避けられない場合を除いてしてはならない。
3.2
蜂蜜は、その本質的な組成物が変更され、および/またはその品質が減損する程度に、加熱または処理することはできない。
3.3
化学的または生化学的処理は、蜂蜜の結晶化に影響を与えるために使用してはならない。
パキスタン蜂蜜仕様基準 特定の花蜜を除き、還元糖65%以上、水分21%以下、ショ糖5%以下、非水溶性固形物0.10%以下、灰分0.6%以下、遊離酸度40meq./1000g以下、ジアスターゼ活性
3以上、H.M.F. 80mg/Kg以下、Fiehe's Test 陰性
検査項目解説:
水分:ミツバチが花蜜を集め体内の転化酵素(インベルターゼ)と混ぜて糖を分解しますが、その段階では水分が50〜60%あります。これをミツバチが羽で風を送り水分を飛ばして熟成させ、20%程にまで落とし貯蔵に適した水分量にします。この段階で糖度が77.5以上ないと気温が高い季節に自然界に存在する酵母によりアルコール発酵してしまいます。
果糖 ブドウ糖 ショ糖:植物の光合成によってつくられたデンプンがショ糖(スクロース)となって蜜腺に貯まったのが花蜜(Nectar)で、ショ糖はミツバチによって果糖(フルクトース)とブドウ糖(グルコース)という単糖類に分解されます。果糖はショ糖の1.73倍も甘いとされていますが、高温では6割程度の甘さしかなく40℃以下でないとショ糖より甘くなりません。蜂蜜はおよそ14℃以下になると結晶を始めます。結晶した部分はブドウ糖です。ブドウ糖は体内ですぐに取り込まれエネルギーとなります。結晶のし易さは蜂蜜固有のものであり、花粉や気泡が核となって起こります。
電気伝導度:灰分やミネラルの量の目安で単位のmS/cmはミリジーメンス パー センチメートルと読みます。
H.M.F.(ヒドロキシメチルフルフラール):糖や炭水化物の熱分解により生成される有機化合物で、蜂蜜に加えた熱の目安となっています。蜂蜜を量産するにはミツバチによる熟成を待つよりも水分量の多い段階で(夕採り)採蜜し、加熱によって水分を飛ばしたほうが都合がいいのです。また過度の加熱は本来含んでいる酵素や栄養素を破壊してしまうのでこれを規制しています。
酸度:蜂蜜には蜜源植物に由来する微量な有機酸が含まれており、その独特の風味の因となっています。蜂蜜の酸度を人工的に変えることは禁じられています。味覚の分野では、pHよりもこの酸度の方が、より感じる酸味の強さと相関性がよいと考えられています。
澱粉デキストリン:工業的につくられたブドウ糖や水あめ等による偽和を防ぐために設けられています。諸外国ではこうした偽和の例はほとんどないので、国際規格にはこの項目はありません。
人工転化糖:偽和物のうちで最も問題になるのはその主成分である果糖およびブドウ糖の増強であり、ショ糖の酸分解によるグルコースとフルクトースの等量混合物がこの目的に使用される事が多く、一般に「人工転化糖」と呼ばれています。Fiehe反応はフルフラールが塩酸存在下でレゾルシンと反応して紅色を呈することを利用したものです。ショ糖の酸分解の際に強酸性で生成したフルクトースのごく一部が還元されて生成するH.M.F.を検出します。
pH:水素イオン濃度指数のことでpH=7を中性とし数値が小さいと酸性が強くなり、大きくなるとアルカリ性が強くなります。多くの蜂蜜はpH=3.7前後といわれています。
Brix゜糖度:この値は20℃のショ糖溶液の質量百分率に相当する値で定められています。Brix゜80.10%は蜂蜜中の糖が全てショ糖だとした時の量を表します。水分の欄にも書きましたが糖度が77.5以上ないと気温が高い季節に自然界に存在する酵母によりアルコール発酵してしまいます。糖度が低い蜂蜜は夏場に発酵する可能性がありますので、発酵時に発生する二酸化炭素による容器の膨張、破損に気をつけて下さい。ちなみに蜂蜜に水とイーストを加えて適温にすれば発酵します。一般的には79度以上あれば完熟とされていますが、糖度が僅かに違うだけでも、食感や使い勝手が変化します。
抗生物質:ミツバチは病気やダニ被害に弱いため、やむを得ず抗生物質を使用することがあります。その際養蜂家は残留薬物検査を行なって出荷します。輸入蜂蜜においては検疫所で検査が義務づけられていますので、国内で流通している外国産蜂蜜には抗生物質は含まれていません(ただしこのことは、抗生物質が使用されていないということと同義ではありません)。逆に国内産蜂蜜は自主検査で義務ではありません。
スーパーオキシド(SOD様)消去活性能:抗酸化作用の指標の一つ。活性酸素の一つであるスーパーオキシドアニオン(O2-)にターゲットを絞り電子スピン共鳴 (ESR) 装置を用いたスピン トラップ法で測定します。空気中の酸素は紫外線,大気汚染等によりスーパーオキシドアニオンラジカル(O2-)やヒ ドロキシラジカル(・OH)などのいわゆる活性酸素に変化します。生体内でもストレスや虚血状態が活性酸素生成に関わることが知られています。 一方、生体内ではスーパーオキシドディスムターゼ等の酵素系により活性酸素の消去を行っています。そこで、日常摂取する食品から活性酸素消去能力を持つ機能成分を摂取し、抗加齢、健康維持を図ることが期待されています。参考値:新鮮なピーマン130、ニンジン120、トマト240、いちご110、キウイ180、グレープフルーツ100、レモン210など
(日本食品分析センターHPより)
ホウ素(ボロン):ホウ素は微量ですが必要なミネラルの1つです。近年になって解明されたホウ素の働きは、エストロゲンの生産を促し、カルシウム、マグネシウム、ビタミンDの代謝にかかわっていて、骨粗鬆症の改善や予防、甲状腺の働きの改善に重要な役割を担っている微量ミネラルであることが報告されています。また、ロシアの研究者による検討では、湿しん、じんましんなどアレルギー性の皮膚の炎症症状ではホウ素の欠乏している場合が少なくないことが報告されています。
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